今年も40℃超に!暑さの原因は、強すぎる”2階建て”高気圧。
8月11日は、群馬の伊勢崎と桐生で40.5℃、埼玉の鳩山で40.2℃と、3地点で40℃を超えました。
2018年から3年連続の40℃超えです。
それ以前は突然現れた高知・江川崎が41.0℃を記録した2013年ですので、やはり普通のことではありません。
40℃を超える原因は、強すぎる2階建て高気圧です。
それをみてみたいと思います。
8月11日の最高気温
今年初の40℃超えとなった8月11日、35℃以上の猛暑日も全国で230地点と今年一番多くなりました。
関東平野は、海沿いを除いてほとんど猛暑日ですね。
では、全国各地なのか全国マップでみてみますと、
どうでしょう。紫色は、東日本が中心になっていますね。
特に九州北部では、30度に届いていない所もあります。
関東を中心とする猛暑であるということがわかります。
その理由は、太平洋高気圧の位置と強さにあります。
近くて強力な太平洋高気圧
太平洋高気圧を見るには、地上の天気図ではなく、上空500hPa面の高度を見るとわかりやすくなります。
8月11日15時ではどうだったのでしょうか。
この図を見るにあたって、
ポイントが3つあります。
1.高気圧の中心が、関東のそば
2.高気圧の高度が、5940m
3.高気圧の南に熱帯低気圧がある
1つ目の高気圧の中心の位置ですが、中心が近ければ近いほど、下降流が強くなります。
下降流が強いということは、断熱昇温で、どんどん空気が暑くなるからです。
2つ目の高気圧の高度ですが、これは高気圧の勢力の強さを表します。
太平洋高気圧の目安は、500hPa付近では5880mです。
通常の夏は中心が日本の南にあって、5880m以上のエリアが日本列島を覆うことになりますが、5940m以上のエリアが日本列島にかかることは、非常にまれなことです。
それだけ日本付近での高気圧が強いことを示しています。
3つ目の熱帯低気圧ですが、熱帯低気圧は高気圧を強める効果があります。
熱帯低気圧(強まれば台風)は、熱帯の熱を温帯に運ぶ役割があり、
熱帯低気圧中心の上昇気流で、熱気が上空で北に運ばれ、北にある高気圧の下降気流によって吹き降りますが、どんどん熱気が運ばれるほど高気圧が強まります。
つまり、熱帯低気圧の強い上昇気流が、太平洋高気圧を強めることになるんです。
”2階建て”高気圧は、さらに暑さを増す!
太平洋高気圧だけでは、ここまでの猛暑にはなりにくいです。
猛暑の原因として、2階建ての高気圧があります。
2階建てというのは、500hPa面でみられる太平洋高気圧と、それより上空にある300hPa面以上でみられるチベット高気圧です。
同じ時間の300hPa面の高度をみてみます。
中国大陸から延びる高度の高いエリアがチベット高気圧、日本列島までチベット高気圧の中にあります。
その中で、高度を区切ってみると、日本付近に閉じた円がありますね。
チベット高気圧が日本付近で強まったということがわかりますが、この原因と考えられるのが、熱帯低気圧です。熱帯低気圧が上空まで熱気を運んだことで、チベット高気圧も強めていると考えられます。
ここで、二つの高気圧を重ねてみます。
見事に、東日本で重なっています。
一番色が濃くなっていますね。
太平洋高気圧も、チベット高気圧も、東日本が中心になっているんです。
全国の気温分布をみても、35度以上の紫色のエリアと同じです。
2階建てになった高気圧と、猛暑が一致していることがわかりますね。
二つが重なることで、背の高い高気圧になります。
背の高い高気圧によって、気流が下降する距離が長くなり、断熱昇温の効果がどんどん大きくなってきます。
それによって、中心付近の気温が上がり、猛暑になるんです。
その二つの高気圧の中心が日本付近にあり、共に強まることは非常にまれな例です。
ただ、まれだからこそ、40℃を超える気温になるんです。
過去の猛暑の事例も、ポイントは2階建て高気圧です。
2階建ては、非常に珍しいものです。
高気圧も鉄道も。
週末からは、暑さの中心は西日本に
16日(日)の500hPaと300hPaの高度の予想です。
11日と比べると、中心は西に移っていますね。
二つの高気圧の中心の位置は変わらず、こちらも2階建て高気圧です。
熱帯低気圧がない分、中心の高度はワンランク下がっていますが、それでも日本付近としては強いものです。
週末は西日本で猛暑になる恐れがありますので、暑さの警戒をお願いします。
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